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6話 揺らめく頼りない炎と、光の粒になって消えた魔法へのルナの小さな喜び

Autor: みみっく
last update Última atualização: 2025-10-22 12:27:06

 練習場の別の隣接した一角には、瞑想や精神統一のための静かなスペースが用意されている。柔らかなカーペットが敷き詰められたこのエリアでは、心を落ち着かせるための穏やかな音楽が静かに流れ、瞑想を通じて魔法の集中力を高めるのに最適な環境が整えられている。空気はひんやりとしており、心が洗われるような清らかさを感じた。

 また、戦闘技術を鍛えるためのエリアも充実しており、ここでは剣術や弓術の訓練が日々行われている。木製のダミーや標的が整然と並び、訓練者たちは実際の戦闘を想定しながら、汗を流して技術を磨くことができる。木製のダミーには、剣や矢が何度も打ち込まれた跡が生々しく残っていた。

 壁際には、魔法や戦闘技術に関する貴重な書物が収められた重厚な本棚がずらりと並んでいる。古代の魔法書や最新の研究書が所狭しと並べられており、中には貴重で危険な魔法などが記載されているために、通常の書庫には置かれていない秘匿性の高い書物も含まれる。これらの書物は、王族たちが魔法の理論や実践を深く学ぶための貴重な資源であり、その知識は彼らの力を一層高める上で不可欠なものだった。

 王族専用の屋内魔法練習場は、単なる訓練施設ではなく、魔法の伝統と歴史が息づく、王族の力と知恵を育む神聖な場所なのだ。ここで訓練を受ける王族たちは、魔法の力を身につけるだけでなく、その力に伴う責任と重みをも学ぶことになる。

 団長の顔つきが真剣なものへと変わり、ゆっくりと魔法を放つ場所まで移動すると、的の方へと片腕を伸ばした。その腕の先には、微かな魔力の輝きが宿っている。詠唱を始めると、団長の手のひらの先に小さな赤い魔法陣がぼうっと浮かび上がり、その中心に赤い小さなゴルフボール大の炎が現れた。炎は瞬く間に勢いを増し、シュッと音を立てて的へとまっすぐに放たれた。

 バシュ!っと小気味良い音を立てて的へ正確に命中させた炎は、一瞬の閃光と共に消え去った。

 レイニーは、その見事な魔法に「わぁ!」と歓声を上げ、ぴょんぴょんと小さく跳ねて喜びを表現した。その顔には、純粋な感動と、魔法への強い憧れが浮かび上がっている。それを見た団長は、レイニーの反応に満足したのか、嬉しそうな表情をしていたが、やがて徐々に真面目な顔つきへと戻っていった。

「さぁ、レイニー様とルナ様の番ですぞ」

 団長は、二人に優しく、しかし確固たる声で声を掛けた。

「あの……わたしは、半分の距離の場所で……お願いします」

 ルナは、恥ずかしそうに頬を染めながら、端の方にある距離が半分の可動式魔法練習スペースへと歩いて移動した。その足取りは、ややぎこちない。

「的に正確に当てる練習なので、当たる距離に移動していただいて構いません。徐々に距離を伸ばしていきましょう」

 団長は、ルナの配慮を理解したように、優しく助言の言葉をかけた。レイニーが、ルナの方をじっと観察していた。ルナも片腕を伸ばし、小さく詠唱を唱え、魔法を放った。団長と比べると、その炎は小さく、頼りなく、的へ向かう途中で少し揺らめくように見えた。それでも、的に当たると霧散して、キラキラと光の粒となって輝き消えていった。

 ルナが、その結果に「わぁ!」と小さな声を出して喜んでいた。その笑顔は、達成感に満ち溢れていた。「ルナが喜んでいるということは、的に届かないか外すことが多いのかな?」とレイニーは、ルナの純粋な反応を見て、そう推測した。

♢才能の片鱗

 初の魔法で、レイニーは胸中にごくわずかな緊張を覚えていたが、実際に魔法を撃てると確信した途端、好奇心と喜びの方がはるかに勝っていた。

「次は……俺の番かな。えっと……腕を構えて……」

 レイニーは、ブツブツと動作を声に出して確認していたが、途中で困った表情になった。そう、レイニーは詠唱を知らないのだ。

「え、えっと……どうすれば? 俺、詠唱を知らないんですけど……」

 とは、今更団長に言えるわけもなく、レイニーは咄嗟にアニメやゲームの知識を思い出した。

 レイニーは目を閉じ、魔力の流れをイメージした。体の中心から手のひらに魔力が集まっていく感覚がはっきりと感じられた。それから、魔法、ファイアショットのイメージを強く心に描き、ゆっくりと目を開けると、手のひらの前に鮮やかな赤い炎の球体が現れた。さらに、その炎で的を撃ち抜くイメージをすると、バシュ! と力強い音を立てて炎が放たれ、的に命中するや否や、それを貫通させ、後方の壁にボフッという音を立てて消えた。

 レイニーは、単に的に当てるイメージだけでなく、それを撃ち抜くイメージまでしていたため、魔法の威力が想定以上に強力になってしまっていたのだ。

「れ、レイニー様!?」

 団長が、驚愕に目を見開いて声を上げた。その顔には、信じられないものを見たかのような表情が浮かんでいる。

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